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Moerenuma Park モエレ沼公園
(※初出:2005年6月 札幌市観光サイト「ようこそさっぽろ」に掲載されたものです)

ブラックスライドマントラとイサム・ノグチ

ブラックスライドマントラ

1998年5月、モエレ沼公園の計画を描いて再び札幌を訪れたノグチは、最初の原型模型を披露した。出席者の反応は必ずしもよくなかった。「そのときはよくわからなかった」と、山本は当時を振り返る。
ノグチは反応の悪さにがっかりして落ち込んでしまったこともあった。

合わせて市に提案されていたすべり台でもある彫刻作品をどのように置くか、とにかく現場を見てもらおうということで大通公園を案内した。
すばらしく晴れた土曜日の午後、ちょうど花盛りの大通公園を西に向いて歩きながら、「いい公園だけど信号で車に止められるのが惜しいね」と、ノグチは話しながら、西9丁目に着いた。通称「クジラ山」といわれる、砂場に隣接したスキー山では、たくさんの子供たちがその斜面をすべり台にして歓声をあげて遊んでいた。クジラ山で遊ぶ子供たちにまじって、笑顔でスロープを滑り降りるノグチの映像がビデオに残っている。

9丁目の真ん中に置くつもりでいたノグチは、「ここには置きません」と言い、時間をかけて考えたあと「ここなら置いてもいいね」と指さしたのが、8丁目9丁目の間の道路上だった。札幌の雪の中でも映えるように黒い石で造るということだった。公園をつないで、安心して子供達が遊べるように、また、東西南北どの通りからも見えるように、ノグチはマントラを車道と歩道のふちに置くことを望んだ。そうなると、8丁目9丁目間の南北に走る道路を一カ所遮断しなくてはならない。

マントラの設置場所はなかなか決まらず、結局ノグチの死後3年たってから、8丁目の芝生の上に置かれた。その後、彼の遺言を尊重し、現在の8丁目と9丁目の間に動かされた。この場所だけ、南北に走る車道はなくなり、公園内の一番広い空間となっている。広い公園の中を子供たちが存分に走り回っている。

芝生の中、少しもりあがったところに「ブラックスライドマントラ」が立つ。黒花崗岩がにぶい光を放つ。「この彫刻は子供たちのお尻で磨かれて完成する」と彼は言ったという。それを証明するように、天気のよい日には、マントラをすべり降りる子供たちの姿が絶えることはない。

(文・写真 吉村卓也 2005年6月1日・記) 

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