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野球場へ行こう

野球、女子もしてみむ

札幌新陽高等学校女子硬式野球部

 女子高生のやる野球なら、きっと少しゆったりしたものなのだろう、送球も山なりなんじゃないか、と思っていた。そんな先入観は、練習を見て完璧に打ち砕かれた。
 練習場のグラウンドを最初に遠目から見たとき、てっきり男子が練習しているのだと思った。近づくにつれ、聞こえてくる掛け声が少し甲高い。よくよく見ると、まさに女子。野球帽の後ろからポニーテールが出たりしている。
 ゴロのさばき方、ピッチャーの腕の振り、三塁から一塁へのまっすぐな送球、脚をいっぱいに伸ばしてキャッチする一塁手、バットのスイング。まさに「野球」であった。
 練習していたのは、札幌新陽高等学校女子硬式野球部。2017年に創設された北海道で唯一の高校の女子野球部だ。現在、1〜2年生で49名の部員がいる。道内各地、東北や関東からの入学者もいて、多くが寮生活を送る。北海道では300校以上、全国では4000校近くの高校硬式野球部があるが、女子硬式野球部を持つのは全国でも26校に過ぎない。

円山球場 オープンは昭和10年

キャプテンの金桃花さん。投打に活躍する。

 キャプテンを務めるのは、2年生の金桃花さんだ。金さんは小学校、中学校と男子チームの中の女子1人で野球を続けてきた。さまざまなポジションをこなしチームの主力選手だったが、ピッチャーだった中学時代、ポジションを外される。理由は「すぐ泣くから」。
 「今はもう泣きません」と笑う金さんは、再び投手としてもマウンドに立つ。110キロの球を投げる。
 「女子だと、考えていることが近い感じがしてコミュニケーションは取りやすいですね。でも男子の中でやっていたときも特に問題はありませんでした」と語る。卒業しても野球は続けたい、海外で野球を教えるのもいいな、と思っている。

 部員の2年生、吉澤栞奈(かんな)さんは旭川出身で寮生活を送る。
 小学校1年生から野球を始め、小学校では軟式の少年野球でプレー。女子は吉澤さん1人だけだった。小学校高学年では、女子の方が男子より体が大きい場合が多く、そのため「チームを引っ張っていたのは自分でした」と語る。中学になってからは、地元の少年硬式野球チームに入る。ここでも女子は1人だけ。中3になって進路を決めるときには、北海道には野球を続けられる学校がなく、道外への進学を考えていたときに、新陽高校の創部の話を聞き、心を決めた。
 2017年、日本代表の選考の最後の30人までに残ったが、叶わず。3年生になったらもう一度挑戦する予定だ。

「プレミアムプレス」(紙版)からの続きはここからです。

石井宏監督の元、練習に励む選手たち。

 監督を務めるのは、同校教諭の石井宏先生。帯広出身。大学野球を経て、阪急ブレーブス(現オリックス・バッファローズ)でプレーした後、2016年3月まで京都の私立高校で女子硬式野球部を指導。高齢の両親のこともあって北海道に戻ることを考えていたとき、女子のための野球部の新設を目指していた新陽高校の荒井優校長から声がかかり、引き受けた。関西に家族を残し、単身赴任で部員たちと同じ寮で暮らす。
 「やはり女の子ですから、目の届くところで見ていないと心配、いう気持ちはありますね」と言う。
 コーチには、全日本女子軟式野球選抜メンバーだった青山真里子教諭を迎えた。来年度の入学生が入ると、3学年がそろう。
 「小中学校で少年野球の主力メンバーだった子が多いですね。そういう子たちが道外に出なくても野球を続けられるようになりました」と話す。

 チームは2017年夏の全国大会では一回戦で敗退したが、2018年の春の選抜大会ではベスト8に入った。現在、7月下旬から兵庫県で行われる全国大会に向けて、練習を続ける。

(文・写真:吉村卓也)